ガンマ波による潜在能力開発について

近年、脳波をガンマ波(γ波)に誘導することによって、長期記憶力が高まったり、ワーキングメモリが増えるという報告がいくつか出されるようになりました。
(反対に、アルファ波やシータ波に誘導しても、記憶力は良くならないことも明らかになっています)

ガンマ波には、他にも、認知症を予防するとか、感覚が鋭くなる、いわゆる「ゾーン」状態に入ってパフォーマンスが高まる、といった効果が言われています。

そこで、この記事では、ガンマ波について紹介するとともに、(次回以降に)新しい手法を使ったガンマ波誘導サウンドを探ってみました。

ガンマ波(γ波)とは

脳から発生する電気的信号(脳波)は、周波数によって、以下のように分類されています。ただし、各脳波に該当する周波数は、人によって微妙に違っていることが多いです。

  • アルファ波(α波): 8~13Hz
  • ベータ波(β波):14~27Hz
  • シータ波(θ波):4~7Hz
  • デルタ波(δ波):0.5~3Hz

ガンマ波(γ波)は、ベータ波(β波)よりさらに上の周波数の脳波です。
一般に、27Hzから上とされることも多いですが、24Hz以上とする定義もありますし、また、ベータ波と区別する必要はないとする意見もあります。

ただ、実際の潜在能力開発の場面では、ガンマ波(γ波)は、40Hz-が使われます。各研究論文でもそうですし、ガンマ波誘導と宣伝しているCDも40Hzのバイノーラルビートが使われています。

ガンマ波(γ波)の効果

記憶力が高まる

臨床試験によって、ベータ波やガンマ波に導くバイノーラルビートによって、長期記憶もワーキングメモリも高まることが報告されています。出典1)2)
(バイノーラルビートがなんであるかは、こちらの「バイノーラルビートを聞く」の説明が初心者に最適です)

しかも、脳波の周波数が高くなるほど、記憶力アップの効果は高くなると推測されます。つまり、20Hzのベータ波より40Hzのガンマ波が、40Hzのガンマ波より80Hzのハイガンマ波が効果が高くなると考えられます。出典3)

出典:
1)Brain responses to 40-Hz binaural beat and effects on emotion and memory
2)Binaural auditory beats affect long-term memory
3)Spatial Working Memory in Humans Depends on Theta and High Gamma Synchronization in the Prefrontal Cortex

知覚が鋭くなる

ガンマ波音源を聞いた後で、五感が鋭くなったという感想があります。脳や神経の働きが増した結果でしょうか。

  • 美味しいものがより美味しく感じられた
  • 耳が良くなった 音楽を聴いて、音の区別がつくようになった
  • 歌がうまくなった 音感が良くなった
  • 微妙な色の見分けがつくようになった
  • 気分が良くて、頭も冴えているような感じがする、など

認知症を予防する可能性

マウスによる実験ですが、40Hzのガンマ波による刺激(光点滅と低周波音)でアルツハイマー型認知症の関連物質とされる脳のゴミ(アミロイドβ)が除去されることが発表されて話題になっています。

出典
4)「耳と目からのγ波の刺激でアルツハイマー原因物質が減る!」(日経BP)

アルツハイマー型認知症の場合、イレギュラーな形でガンマ波が現れることがわかっていますが、上の記事では、ガンマ波の刺激で、アルツハイマー型認知症を防ぐ可能性が示されています。

その他の効果

ガンマ波製品の販売サイトなどを見ると、以下のような効果があげられています。

  • 脳の情報処理スピードが速くなる
  • 集中力がアップする
  • 幸福感
  • 直観が鋭くなる
  • セルフコントロール
  • 「ゾーン」体験、「フロー」体験
  • 創造性の開発(夢を見ている時ガンマ波が現れることから)

出典)
5)ブレインシンク「Pure Focus」
6)ブレインシンク「Brain Power」
7)The Marvelous Properties Of Gamma Brain Waves

ガンマ波(γ波)になるになるには

このように私たちの脳の活動を高め、維持するために効果が期待できるガンマ波(γ波)ですが、ガンマ波状態になるにはどうすれば良いのでしょうか。
4つのことが考えられます。

瞑想

瞑想に熟達した人が瞑想に入ると、リラックスしてアルファ波からシータ波とだんだん脳波が下がってきます。が、4Hz程度のシータ波まで下がると同時に40Hz程度のガンマ波が見られるようになります。

瞑想や呼吸法は、ガンマ波(γ波)になるために習得しておきたいメソッドです。

情熱を持ち、愛情を深める

「ゾーン」や「フロー」と呼ばれる状態になると、脳波はガンマ波(γ波)になります。「ゾーン」や「フロー」は、幸福感を伴うのが特徴です。

情熱を持ち、愛情を深めることが、「ゾーン」や「フロー」体験を呼んで、ガンマ波(γ波)状態を呼ぶと考えられます。

スーパーフード

食べ物もガンマ波(γ波)になるのに考慮すべき要素です。
一部のブログ等では、カカオ、緑茶、青魚などを勧めています。
共通するのは、血液をきれいにし、血流を良くするとされる食材です。
他にもいくつもあると思いますが、今後の研究課題です。

脳波誘導テクノロジーを使う

脳波には知覚される周波数に同調する性質があります。この性質を利用することで、狙った脳波に誘導することができます。ガンマ波の効果を調べる臨床試験では、以下の手法が使われています。

  • バイノーラルビート
  • モノーラルビート
  • 光の点滅
  • 低周波音
  • 経頭蓋交互電流刺激法(tACS)、など

このうち経頭蓋交互電流刺激法(tACS)を除く脳波誘導手法については、「7つの脳波誘導手法を詳しく解説 」に詳しく説明があります。

注意:
エビデンスはまだ十分とは言えません。
また、ガンマ波の測定は難しいことにも留意する必要があります。過去には皮膚や筋肉からの信号を誤って拾っていたケースもあります。

今の時点では、1つ1つの報告に惑わされずに、全体を見ていく必要があるように思います。ただ、それでも効果から見て、ガンマ波にチャレンジする価値は十分にあるのではないでしょうか?

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