7つの脳波誘導手法を詳しく解説

脳には一定のリズムの刺激や周波数に接すると、脳波がその周期(周波数)に同調するという性質があります。

この「脳波の周波数同調現象」を利用して、人の脳波をアルファ波やシータ波の状態に誘導して、潜在能力開発に役立てようとするツールが発売されています。
ただ、手法は1つではありません。ツールによって色々な手法が使われています。

脳波誘導サウンドを聞く女性
脳波計のデータ
アルファ波が活性化している様子

ここでは、脳波をアルファ波やシータ波に導く7つ手法について、歴史的な経緯や応用されている製品を含めて、説明しています。

1.光の点滅のリズム

1934年、光の点滅のリズムに脳波が同調することが発見されました。たとえば、1秒間に8回のリズムで点滅すると、脳波は8Hzのアルファ波に導かれるわけです。
これが脳波誘導の始まりとされています。

光の点滅は、単調ですが、効果としては強力で、現在でも「ボイジャーエクセル・プロテウス」「マインドスパ」等ブレインマシンと呼ばれている機械に使われています。

ブレインマシン

2.体へのタッチのリズム

体へのタッチするリズムにも脳波が同調することが、1942年にデンプシーとモリゾン両氏によって発見されました。
たとえば、1秒間に4回ずつ体を軽く叩くことで、脳波もリラックスのシータ波になります。あまり明らかにはされていませんが、ベテランのセラピストなどは、リラックス手法として使っているそうです。

3.音のリズム

音のリズムにも脳波は同調します。確認されたのは、光の点滅リズムへの脳波同調の発見から25年経った1959年です。

現在でも、アイソクロニックトーンという名称で、海外で音源が販売されたりしています。

1秒間に8ビートのアイソクロニックトーン(8Hzのアルファ波に導く)

アイソクロニックトーンは、後に述べるバイノーラルビートよりも、効果がはるかに高いと言われています。が、いかにも単調ですので、応用がしにくいという難があります。

そこで、音のオンオフのリズムに代えて、音の変調のリズムで脳波を同調させている音源もあります。(⇒ Brain Sound Quest など)

4.音の周波数

たとえば、10Hzの周波数の音を聞かせて、10Hzのアルファ波に誘導しようとするものです。
これは日本では「キュアアルファ」という機械で実現されています。が、他にこの手法を使っている潜在能力開発ツールは、ありません。

その理由は、ここで使われる10Hzなどの超低周波は、人には聞こえない(一般的に人の可聴域は20Hzくらいからとされています)わけで、「聞こえない(=感じられない)ものは効果がない」とされてきたからです。
また、この程度の超低周波は、従来のスピーカーやヘッドホンでは、再生できないということもあります。

5.バイノーラルビート

そこで、聞こえる音の周波数で、脳波を誘導しようと考えられたのが、バイノーラルビートです。
バイノーラルビートは、1973年にジェラルド・オスター博士によってこの手法が発表されました。

バイノーラル・ビートは、左右の耳からそれぞれ違う周波数の音を聞かせると、その周波数の差が、頭のなかにうなり音となって聞こえますので、そのうなり音に脳波の周波数を同調させようというものです。

バイノーラルビート

例えば、4Hzのアルファ波を増やそうとする場合、左の耳から102Hzの音を、右の耳から98Hzの音を聞かせて、頭の中に、4Hzのうなり音を作り出し、その4Hzに脳波をチューニングさせようとします。

バイノーラルビートを実際に聞いてみたい方は、「バイノーラルビートによる脳波誘導」を参照ください。

バイノーラルビートは、脳波誘導手法の主流といってよく、ヘミシンク、ホロシンク、ブレインシンク、インサイトといった多くのCDや「ボイジャーエクセル・プロテウス」「マインドスパ」等ブレインマシンと呼ばれている機械に使われています。

バイノーラルビートは、聞きやすいですし、音楽のなかに潜ませるなど応用性が高いという特徴があります。

しかし効果が小さいという致命的な欠点があります。
これは、バイノーラルビートで生じるうなり音の大きさも振幅も小さいことが原因です。

6.モノーラルビート

バイノーラルビートを発表したオスター博士は、周波数の違うトーンを同じチャンネルから流す「モノーラルビート」という手法も提唱しております。

モノーラルビート

モノーラルビートは、バイノーラルビートに比べて、うなり音の振幅が大きく、効果が高いというメリットがあります。
(上述の「バイノーラルビートによる脳波誘導」で聞き比べるとわかります)
しかし、今度は聞きづらくなるというデメリットが出てきます。

モノーラルビートは、バイノーラルビートに比べて、ほとんど潜在能力開発ツールには採用されてきませんでした。しかし、『SAB Quest 2』で聞きやすい改良を加えた形で提供されています。

7.ハーモニック・マトリックス

可聴範囲の周波数の音を使って、なるべく低い周波数を脳に感知させる方法としては、周波数の差を利用するのが、バイノーラルビートとモノーラルビートでしたが、もう1つハーモニック・マトリックスという手法があります。

ハーモニック・マトリックスでは、たとえば、小さな128Hzの周波数の音を組み合わることで、少し大きな64Hzの周波数を創り出します。64Hzの音は、さらに組み合わされて32Hzの周波数ができます。こうして、16Hz→8Hz→4Hzという風に、より低い、より大きな周波数を創り出していくものです。

ハーモニック・マトリックスのイメージ
ハーモニック・マトリックスのイメージ

上の6つの手法は特定の脳波しか誘導しません。が、ハーモニック・マトリックスの場合は、幅広い範囲の脳波を同時に活性化していくという特徴があります。

ハーモニック・マトリックスは、1990年代に実用化され、『Vantage Quest』CDで使用されています。

まとめ

脳波を誘導する手法として、「光の点滅のリズム」「タッチのリズム」「音のリズム」「音の周波数」「バイノーラルビート」「モノーラルビート」「ハーモニック・マトリックス」の7つを紹介しました。

それぞれの手法には、特徴、長所、短所があります。
一般的には、効果が高いものほど単調で飽きやすく、反対に単調さが目立たない手法は、効果が低いと言えます。
購入前には、十分に試して、合ったものを購入されることをお勧めします。
(試聴できないものは、お勧めできません)

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