ガンマ波(40Hz)の刺激が記憶力アップや集中力アップだけでなく、認知症の方の改善にも効果があるとして近年研究が進んでいます。
その中の1つ、カナダのトロント大学より、短期及び長期に認知症の方に受けて貰って改善を示したと報告されているのと同じ内容の音源を作成してみました。
トロント大学の試験について
トロント大学の試験については、2つの報告があります。
で長期(1年)のものは
Long-Term Multi-Sensory Gamma Stimulation of Dementia Patients: A Case Series Report
結果は、簡単に言うと、アルツハイマー型認知症(軽度・中度・重度)の人に対して週2回各30分間使用して、とくに軽度・中度の人が症状が少しずつではあるが着実に改善したというものです。
後者の結果については、詳しい報告(英語)がこちらにありますので、知りたい方はご参照下さい。
使用された音源と使用法
この試験で使われた音源は
・40Hzの正弦波
・40Hzのアイソクロニックトーン(160Hzの正弦波を100%の強度で変調させたもの)
を組み合わせたものを音楽に埋め込んでいます。
実験ではこの音源を VTS-1000という市販の機器で聞いています。
VTS-1000は、音響振動セラピーシステムという名前がついていますが、40Hzの振動を聞く人の身体(触感)に伝える機械です。40年ほど前から日本にあるボディソニックのような機械です。
したがって、この試験では患者は聴覚と触覚にガンマ波刺激を与えられた結果、症状が改善したことになります。
聴覚刺激だけで効果を高めるために
トロント大学の実験では、聴覚と触覚に40Hzのガンマ波刺激を与えるものでしたが、聴覚刺激だけでも効果を高めることが可能です。
その方法として、以下の3つが挙げられます。
1.目を閉じて聞く
脳波誘導の刺激のなかでも聴覚刺激はもっとも弱いものです。
しかし、目を閉じて聞くだけでガンマ波同調が高くなることがわかっています。
2.大きなヘッドホンで聞く
振動が伝わるように、ドライバーユニット(振動板)が大きなオーバーヘッド型のヘッドホンで聞いた方が良い効果を得られます。骨伝導のヘッドホンも効果を高める可能性が考えられます。
3.認知タスクをしながら聞く
認知症の改善には、脳の部位のうち、海馬を含む側頭葉のガンマ波が重要です。
ある実験では、40Hzセッション中に認知タスクを実行すると、側頭葉においてもガンマ波同調が見られることがわかりました。認知タスクを伴わない刺激と比較して、認知タスクは、海馬を含む深部領域へのガンマ同調の伝播を促進するものと考えられます。
したがって、計算や記憶ゲームなどをしながらお聞きになることをお勧めします。
また、聴覚刺激は、弱くとも、聴覚野の場所的に視覚刺激や触覚刺激より側頭葉のガンマ波同調に有利だという考えもあります。
ガンマ波8(トロント大学仕様)を聞いてみよう
私たちも同じ仕様の音源を作成しました。ヘッドホンで聞くと、結構脳への刺激が強めなのがわかります。
実験と同じ30分版を提供します。